第14次労働災害防止計画の方向性

キーワード:第14次労働災害防止計画の方向性、中小事業所の安全衛生対策、高年齢労働者、メンタルヘルス対策、過重労働対策、労働災害の増加、過重労働対策

第14次労働災害防止計画とは

「労働災害防止計画」は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。戦後の高度成長期における産業災害や職業性疾病の急増を踏まえ、1958 年に第1次の計画が策定され、その後、社会経済の情勢や技術革新、働き方の変化等に対応しながら、これまで 13次にわたり策定されてきました。

現在は、第13次労働災害防止計画(2018年4月〜2023年3月)の期間中で、来年4月に向けて、第14次労働災害防止計画の策定が進んでいます。2022年11月16日に開催された第150回労働政策審議会 (安全衛生分科会)で、第14次労働災害防止計画について話し合われ、2022年12月14日の第151回労働政策審議会 (安全衛生分科会)で計画案が示されています。第151回労働政策審議会(安全衛生分科会)で示された計画案の方向性を知ることで、今後、我々が取り組むべき安全衛生のポイントが把握できます。

労働災害に関する課題

以下は計画案で示された労働災害に関する課題と計画目標となります。

  • 労働災害による死亡者の数は減少傾向ですが、いまだその水準は低いとはいえず、労働災害による休業4日以上の死傷者数に至っては、ここ数年増加傾向にあります。また、労働災害発生率が高い 60歳以上の高年齢労働者が増加しているほか、中小事業場の労働災害の発生が多数を占めており、中小事業場を中心に安全衛生対策の取組促進が不可欠な状況です。
  • 職場における労働者の健康保持増進に関する課題については、メンタルヘルスや過重労働への対応、労働者の高年齢化や女性の就業率の増加に伴う健康課題への対応、治療と仕事の両立支援、コロナ禍におけるテレワークの拡大や化学物質の自律管理への対応など多様化しており、現場のニーズの変化に対応した産業保健体制や活動の見直しが必要となっています。

計画目標

計画目標として以下のことが示されています。
(1)自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発(労働安全衛生コンサルタントの活用促進)
(2)労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進(転倒災害、腰痛の防止)
(3)高年齢労働者の労働災害防止対策の推進(エイジフレンドリーガイドラインに基づく高年齢労働者の安全衛生確保の取組)
(4)多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策の推進(テレワークや副業・兼業を行う労働者の健康確保)
(5)業種別の労働災害防止対策の推進
(6)労働者の健康確保対策の推進
・メンタルヘルス対策(ストレスチェックの実施や集団分析を促進、ハラスメント防止対策)
・過重労働対策(時間外・休日労働時間の削減、労働時間の状況の把握、年次有給休暇の確実な取得の促進、勤務間インターバル制度の導入、長時間労働者に対する面接指導の推奨)
(7)化学物質等による健康障害防止対策の推進(化学物質・石綿、粉じん・熱中症、騒音・電離放射線による健康障害防止対策)
(8)個人事業者等に対する安全衛生対策の推進

中小事業者の安全衛生対策の遅れとその対策

災害発生状況や健康確保対策において、中小事業者の安全衛生対策の遅れが指摘されています。背景として、厳しい経営環境等様々な事情がありますが、それをやむを得ないとせず、安全衛生対策に取り組んでいくことが、事業者にとって経営や人材確保・育成の観点からもプラスとなることを周知する等、事業者による安全衛生対策の促進と社会的に評価される環境の整備を図っていくことが重要です。

当社では、中小事業者様に対して、専門的な教育を受けた産業医(労働衛生コンサルタント)による産業保健活動を提供することで、安全衛生対策を促進し、労働災害防止、労働者の健康確保に寄与できればと考えております。ご興味がある企業様は、ぜひ当社までご連絡いただければと思います

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